Marossárpatak 村の風景

ティルグムレシュから7km程北上すると左手にGlodeni村がある。この村にはたくさんのハンガリー人が、

ジプシーと共にお互いの文化を認め合いながら生活している。

ジプシー達はジプシー語とハンガリー語を操り、どの村人も踊りの名手である。Glodeniはハンガリー語名でMarossárpatakといい

その意味はマロシュの泥の小川。ジプシー達はマロシュの支流川岸に生える葦のような水草を刈り取り、籠などの生活用品から

椅子や机などのおおきな家具までなんでもこしらえる。

ティルグムレシュを北上するメイン道路の路肩には、これらの作品を並べて商売をするジプシー達がたくさん見受けられる。

いったんしまると何時あくのか定かでない開かずの踏み切りの前などは、格好の商売ポイントだ。

ジプシーの家で飼われていた丸々と肥えた豚。

帽子をかぶっているのは村の料理人、何百人分の料理をつくる。このハンガリー人の料理人、包丁とまな板を担いで自転車に乗り、村のどこにでも仕事に行く。村の冠婚葬祭などの行事には欠かせない存在。

料理人の持つハイテクな機械。胴部に薪をくべ、後部のファンは電動で高速回転。前頭部の穴から勢い良く火柱が噴いてくる。豚の毛を焼ききり、皮にも火を通す。焼けた毛をナイフでこそぎ落としているのはジプシー青年団のリーダー・イムレ。起用にナイフをあてがう。

頚動脈にナイフが入ってからものの15分でこの姿。放し飼いの犬が流れた血をなめに来る。村の子供達も見物に集まる。邪魔はしない、ただじーっと見ているのだ。香ばしく焼けた豚の耳をイムレが子供達に差し出す。待ってましたと子供達が群がる。

私もお味見をさせてもらった。熱々の皮には若干毛が残る。経験したことがないくらい獣くさい。しかし塩をふり思い切ってパクついてみると予想以上に美味。

手際よく解体される内蔵と食肉部分。

血液や腸管は肉と共にソーセージに、肺や腎臓などの内臓はにんにくの効いた賄いようの煮込みに、肉はパプリカで味付けしたグヤーシュスープに、脳髄もソテーすると最高のご馳走になる。豚は捨てるところがほとんどないそうだ。

今夜は公民館にてジプシーの大パーティー。どの公民館にも大きな台所がある。料理人はそこで腕を振るい何百人ものご馳走を仕込む。