第6回 ROMAFEST

2003.08.16

ルーマニアにて行われた第5回ROMAFESTの興奮も覚める間もなく、新たにジプシーの才能を発掘すべくマケドニアへと向かった。

マケドニアの首都スコピエの北、クマノボが第6回ROMAFESTの開催地である。

ジプシー達のほとんどがイスラム教徒。女性は裾のつぼまったムスリム特有のズボンをはく。

マケドニアにはどのようなジプシー文化が花開いているのだろうか。

SHUTKA(シュトカ):スコピエ近くの45000人が住む巨大ジプシー居住区。マケドニア人はほとんど立ち入らないという。シュトカは自治権を持っており彼らにより生活が営まれている。町を治める長の家に居候しながら町を散策した。

町のメインストリートにはバスも走る。この通りの左側には巨大な市場。日用品や洋服雑貨類が何でもそろう。スコピエに比べると物価はかなり安い。

通りの右側は緩やかな丘になっていて住居が所狭しと立ち並んでいる。学校もこの中に建設されているらしい。

このメインストリートは日が沈み夜になると別の顔を表す。町中の人が散歩をするのだ。行くあてがあるわけでもなく、ただおしゃれをして、気の合う仲間と腕を組みおしゃべりをしながらゆっくりと歩くのだ。

まるでお祭りの縁日の中にいるようだ。こんな光景が毎夜できるらしい。

日本人を見るのは初めてなのか、あっという間にジプシー達に囲まれる。ひとなつこいジプシー達がどんどん話しかけてくる。若者は英語を話す。学校で習ったらしい。使う機会がなかなかないからと練習をさせてくれという子もいた。

丘の住宅地へ足を運ぶと、あっちでもこっちでも結婚式のパレードが見られた。音楽隊もやはりジプシー。休日はマケドニア人の結婚式の仕事で忙しいのでジプシーの結婚式は平日に行うのが慣例らしい。

この日は3つの結婚パレードに遭遇。おひねりがたくさん挟まったタパン(太鼓)を囲み、人々が手と手を取り合い町を踊り歩く。このパレードは日が沈むまで続く。

 

KUMANOVO(クマノボ) ROMAFEST開催地であるここクマノボでも結婚式の真っ最中。

町の空き地にて隣人が集い、踊りの輪が幾重にも重なっている。

こちらは電子楽器での演奏。

演奏するのも、踊っているのも、見物しているのも、もちろん全てジプシー。

おめでたい場ではあるが、お酒を飲む人は誰も見当たらない。やはりこのジプシー達もムスリム。

花嫁はどこにいるのか・・目を凝らして探す。

 

いた! 輪の中心近くにピンクのきれいなドレスをまとう花嫁。ゴージャスなムスリムの衣装に身を包むのは親類の女性。 

後にこの花嫁の支度部屋にお邪魔をすると、なんと壁中に様々なドレスがかけてある。洋風のもの、ムスリムのもの、チャイニーズスタイルまであった。これが最近の結婚事情なのであろうか。

 

踊りの輪の中で特に目立っていた少女。衣装もきれいだし、何と言っても踊りに品と切れがある。

ROMAFESTへ出場するのか問うて見たが、言葉が通じず、残念。

さて、いよいよROMAFEST、どんなジプシーが登場するのか。マケドニア独自のジプシー文化楽しみだ。

 

 

ROMAFEST report

クマノボの町中に貼られているROMAFESTのポスター。

マケドニア語はローマ字のアルファベットとは異なるキリル文字で表記される。 

町の公民館には、すでにROMAFESTの準備が整っている。

 

KUMANOVOチーム

マケドニアのジプシー達の踊りはマケドニア人の踊りとほとんど同じであるようだ。

タパンの拍動にあわせ、先頭の合図に合わせて列で動く、チェーンダンス。

 

     

DELCEVOチーム

華やかなブラスバンドのグループはブルガリア国境近くマケドニア北東の町デロチェボより出場のチーム。

トランペットのデニス君。彼が今回ROMAFESTの華だった。 何と彼は吹きながら踊る。さらにトランペットを下げれば、歌も歌う。

甘い声でささやくは”マンガヴァ・ティー・・・”これはジプシー語で I love you. どうやら愛の歌らしい。

女性の踊りはチェーンダンスに比べて妖艶である。男性に祭られながら腰とお腹でリズムを刻む。 トルコのベリーダンスのよう。

 

STRUMICAチーム

マケドニア南東部より出場。チェーンダンスのほかに、男女対で優雅に舞う。女性は体中が楽器になっているよう。会場に響くタパンの鼓動は太鼓からでなく、女性の腰で鳴らされているように錯覚してしまう。ダイナミックでかつ品のある素敵な踊り。

見事な男女の掛け合い。音と動きの調和。魅せられてしまった。 STRUMICAはギリシアに近い地域。踊りはアルメニアの”ショタ”の影響がうかがえる。

 

金賞受賞チームはブラスバンドのデロチェボ。銀賞は素敵なカップルダンスのストゥルニッツァ。

大会後のパーティーでは感謝の気持ちを込めてデロチェボが増永氏に曲を贈った。

曲目はJELEM JELEM。ルーマニアROMAFESTのテーマ曲だ。マケドニア風のアレンジでこの曲が演奏された。氏を囲み自然に踊りの輪ができる。挑戦してみると簡単に見えて、なかなか難しい。 小節の間隔が同一でなく変則的、なれるまで一苦労。しかし、素敵な思い出のひとときとなった。

 

  

 

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